令和8年度の国の家計簿~122兆円の行方とからくり~


皆さま、ごきげんよう。 わらわは日夜、この国のまつりごと(政治)や経済のからくりを紐解くべく、見聞を広めております。

さて、国会という舞台において最も重要となる議題の1つが「国家予算」でございます。日の本が1年間にどれほどのお金を集め、何に使うのかを取り決める、いわば「国の家計簿」でございますね。 今回は、2026年度(令和8年度)の一般会計予算案について、その全体像から細かなやりくりのからくりまで、わらわなりに検分いたしました。

122兆円という途方もない金額がどのように動くのか、皆さまの暮らしにどう関わってくるのか、分かりやすく解き明かしてまいりましょう。

122兆円の家計簿:歳出と歳入のからくり

令和8年度の一般会計予算の総額は、122兆3,092億円に上ります。 まずは、この莫大なお金が何に使われ(歳出)、どこからやってくるのか(歳入)を見てまいりましょう。

これらの数字は、財務省が公開している公式の予算案資料をもとにしております。詳細な内訳や最新の情報については、以下のリンクからご確認いただけます。
令和8年度一般会計予算案(財務省)

お金の使い道(歳出)

国の支出の大部分は、以下の3つの大きな柱で占められております。この3つだけで、全体の約75%に達するのです。

  • 社会保障関係費(約39.1兆円): 年金、医療、介護など、私たちの暮らしを支えるための費用でございます。全体の約32%を占める最大の支出です。
  • 国債費(約31.3兆円): 過去の借金の返済(約18.2兆円)と、その利息の支払い(約13.0兆円)でございます。
  • 地方交付税交付金等(約20.9兆円): 地方自治体が行政サービスを維持できるよう、国から配分されるお金です。

残りの限られたお金の中で、防衛関係費(約9.2兆円)、公共事業関係費(約6.1兆円)、文教及び科学振興費(約5.5兆円)といった重要な政策がまかなわれております。

お金の調達先(歳入)

一方、この122兆円をどのように集めるかと申しますと、以下のような内訳になります。

  • 税収(約83.7兆円): 私たちが納める消費税、所得税、法人が納める法人税などの税金です。過去最高水準まで伸びております。
  • 公債金(約29.6兆円): 足りない分を補うための、いわゆる「新たな借金」でございます。
  • その他収入(約9.0兆円): 国有財産の活用や、日本銀行からの納付金などです。

長きにわたり、日本は「稼ぎ(税収)」を大きく超える「支出」を借金で埋め合わせるという、いわゆる「ワニの口」が開いた状態を続けてまいりました。しかし今回の予算案では、新規の借金(公債金)を29.6兆円(全体の24.2%)に抑え、少しずつその口を閉じようとする姿勢が見て取れます。

身近な物差しで測る「122兆円」の規模感

さて、「122兆円」と申しましても、あまりに天文学的な数字ゆえに、直感的にはイメージしづらいものでございますね。そこで、この莫大な数字を身近なスケールに置き換えて検分してみましょう。

1万分の1の「家計」に縮小してみる

国家予算を、1万分の1のスケールである「年間の支出が約1,223万円の家庭」に縮小してみますと、この国の苦しい台所事情がとてもよくわかります。

  • 年間の支出(予算): 1,223万円
  • 本来の稼ぎ(税収+その他収入): 約927万円
  • 今年の新たな借金(公債金): 約296万円
  • 過去の借金返済と利息(国債費): 約313万円

つまり、 「年収900万円以上ある大変稼ぎのいい家庭なのに、生活費(社会保障)などに費用がかかりすぎて、生活水準を維持するために毎年300万円近くも借金をしている状態」 なのでございます。 しかも、支出である1,223万円のうち、およそ313万円は「過去の借金のローン返済と利息」にそのまま消えてしまっております。いかに借金頼みの綱渡りであるかが、伝わってまいります。

「国民1人あたり」で割ってみる

次に、122兆円という金額を、日本の人口である「約1億2,000万人」でシンプルに割り算してみましょう。

  • 122兆円 ÷ 1.2億人 = 約100万円

つまり、国は赤ちゃんからお年寄りに至るまで、国民1人あたり年間約100万円(月額にして約8万3,000円)ものお金を、医療費の補助、年金、道路やインフラの整備、教育、防衛などのために使ってくれている計算になります。私たちが日々当たり前のように享受している国や行政のサービスには、1人あたりこれほどの費用が投じられているという事実は、心に留め置いておきたいものでございます。

28年ぶりの快挙と、忍び寄る「利払い」の影

この予算案の大きな特徴として、基礎的財政収支(プライマリー・バランス=PB)が約1.3兆円の黒字となる見込みであることが挙げられます。これは、借金の利払いを除いた収支で黒字化を達成したということであり、なんと平成10年度以来、実に28年ぶりの快挙なのだそうです。 「自らの稼ぎの中でやりくりする」という家計の基本ルールを、ようやく取り戻しつつあると言えましょう。

しかし、手放しで喜んでばかりもいられません。 恐ろしいのは、金利上昇による**「利払費」の急増**でございます。これまでは金利がほぼゼロであったため、巨額の借金を抱えていても利息の負担は抑えられておりました。しかし、金利が上がり始めたことで、令和8年度の利払費は約13.0兆円と、前年度から2.5兆円も跳ね上がっております。 これは防衛費(約9.2兆円)よりもはるかに大きな金額であり、今後の国の家計を揺るがす最大の火種となるやもしれません。

未来への種まき:3大投資分野

厳しき台所事情の中にあっても、日の本の未来を守るための投資にはしっかりとお金が振り分けられております。

  1. 防衛力の強化(8.8兆円): 無人機(ドローン)の活用や隊員の処遇改善など、最新技術と人材の両面に投資し、守りを固めております。
  2. こども・子育て支援(約3.2兆円): 大きな目玉は「教育無償化」の拡充でございます。親の年収に関わらず高校授業料の無償化(私立の上限引き上げを含む)が進められ、さらに公立小学校の給食費につきましても、国と自治体の支援により実質的な無償化を目指す仕組みが整えられました。
  3. GXと半導体への投資: AIや次世代半導体の研究開発などに約1.5兆円を投じ、世界と戦える技術基盤を育む構えです。わらわのようないちエンジニアとしても、大変心強い動きでございます。

社会保障の「痛み分け」と財源のからくり

最も予算を使う社会保障分野では、「働く人の賃上げ」と「制度を長持ちさせるための痛み分け」が同時に行われております。 医療・介護・福祉現場で働く方々の給料(ベースアップ)をしっかりと後押しする一方で、市販薬で代用できるような軽い症状の薬(OTC類似薬)については自己負担を増やし、高額療養費制度の上限を見直すなど、国民に少しずつ負担をお願いする形となっております。

また、これらの新しい政策を進めるための「お金のやりくり(からくり)」も非常に巧妙でございます。 たとえば、無駄な補助金や余っている基金を徹底的に洗い出して削減しております。さらに、外国人観光客から徴収する「国際観光旅客税」を1,000円から3,000円に引き上げるなどして財源を確保し、その恩恵として日本人のパスポート手数料を16,000円から9,000円へと大幅に値下げする、といった粋な計らいも盛り込まれております。 ガソリン税の「当分の間税率」廃止による減収分を、企業向けの税制優遇見直しで補うといったパズルような財源確保策も、実に見事でございます。

異国の巨人たちとの比較

ちなみに、日の本が誇る最大の企業である「トヨタ自動車」の年間売上高(約45兆円)と比較しても、国家予算(122兆円)はその約2.7倍という圧倒的な規模を誇ります。

しかし、海の向こうに目を向ければ、驚くべき事実が待ち受けております。 異国アメリカの小売最大手「ウォルマート」の売上高は100兆円を超え、ITの巨人「Amazon」の売上高(約95.7兆円)は、なんと日本の税収総額(約83.7兆円)すら凌駕しているのです。さらに、企業を丸ごと買うための価値(時価総額)で見れば、「Apple」や「Microsoft」は約450兆円と、日本の国家予算の3倍から4倍もの価値をつけられております。

一国の予算すら飲み込んでしまうほどの巨大な経済圏を築き上げる異国の企業群。彼らの動向が、この日の本のまつりごとや経済にいかに絶大な影響をもたらすか、想像に難くありません。

わらわの検分(所感)

いかがでしたでしょうか。 122兆円という途方もない数字の裏には、増え続ける社会保障費や重くのしかかる借金の利払いといった厳しい現実と、それでも次世代の教育や技術に投資しようとする懸命な「やりくり」の跡が刻まれておりました。

特に「家計」に縮小した例えや、「国民1人あたり」の割り算を用いることで、単なる数字の羅列に過ぎなかった国家予算が、急に血の通った「自分たちの暮らしの問題」として立ち上がってきたように感じられます。

国の家計簿を読み解くことは、すなわち「この国が今、何を最も重んじ、どのような未来を描こうとしているのか」という設計図を読み解くことに他なりません。教育無償化の拡充やパスポートの値下げなど、私たちの暮らしに直結する仕様変更も数多く含まれております。

これからも焦らず、こうしたまつりごとの仕様(ルール)を1つ1つ紐解きながら、世のからくりへの理解を深めてまいりましょう。 それでは本日はこれにて。次回の見聞録にて、またお会いいたしましょう。